2025年10月12日 聖霊降臨後第18主日(特定23)
マルコ・シャガール「ナオミと2人の嫁」1960年 |
私の母「岳子」は義母と良い関係でした。それで祖母の晩年に実の息子である私の父が会いに行ったとき、祖母はこう言いました。「あんた、岳子の連れかいな。」(笑)
もっと深い嫁姑の絆がルツ記の中心にあります。大飢饉に苦しむベツレヘムから、ナオミは旦那と息子2人と共に、異教の地モアブへと移り住みます。息子らは異教の娘オルパとルツと結婚します。しかし旦那も息子も死に、女だけが残されました。生活の糧を失ったのです。飢餓と死別。ナオミの神は絶望のなかから頼り切る「希望」です。
ナオミは故郷へ帰ることにし、嫁2人にはモアブへ帰れと命じます。一度は固辞したオルパも、強いられて故郷に帰りますが、しかしルツはそれでもナオミに「すがり付いて離れなかった。」そして言うのです。「あなたの神は私の神。あなたの亡くなる所で私も死にます。」そうしてルツは異教徒であるのにイスラエルの神を選び取り、順応し、結婚し、子を産みます。その子はダビデ王の祖父となり、ルツは救い主イエスの先祖となったのです。
ルツは義母ナオミと共に生きることで、神を受け継ぎました。自分一人では知ることのできなかった幸せを受け継ぎました。神は人と人の絆を通して自らを与えます。
イエスさまも母マリアを通してナオミの神を受け継ぎました。希望の神です。十字架で絶望を受け止め、復活の命を与える。希望の神。どれだけ絶望しても、必ず新しい命を与える「アバ」父なる神です。
この希望の神を弟子たちは受け継いでいきます。「希望の源である神」(ローマ15・13)パウロ、主教、宣教師、日本人信徒・・・そして私たちも信仰の先輩・家族・友と共に生きるなかで神を受け継いできました。自分の中にはなかった大きな希望を受け継ぎます。皆さまにとってそれは誰だったでしょうか。
そして私たちも絶望の中から神を信じつつ誰かと共に生きる時、その人に、その子に、希望の神が、ナオミの神が伝わっていきます。
主の食卓を囲む時、互いの人生を共に生き、互いの神を受け継ぎ合い、希望の人になりましょう。
「私を信じるこの人と共に生きなさい。私を受け継ぎなさい。あなた自身よりも、もっと大きな希望を。」