2025年8月17日 聖霊降臨後第10主日(特定15)
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アンソニー・ヴァン・ダイク. 「十字架のキリスト、ヨハネ、母マリア、マグダラのマリア」1617-9. ルーブル. |
私の両親と兄妹は無宗教です。それで私が23歳で洗礼を受けた時、私は家族との「対立」を少し感じました。自分が不安だったからなのかもしれません。
イエスさまは、家庭に平和ではなく対立をもたらす、と言いました。しかしこれはカルトのように信仰を持たない家族との対立を煽る言葉ではありません。神は平和の神です。「父母を敬え」とイエスさまも他の所では教えています。
これは理想の勧めではなく現実描写です。この世の家族の現実は甘くない。不信仰も悪もある。だがあなた自身は、まずこの世の家族関係から自由になりなさい。「よい意味で対立」しなさい。そして神の家族として生まれ、神の子となって、もう一度この世に派遣されて、この世の家族を愛しなさい、と。
家族は社会で最も基本的な人間関係です。愛で結ばれた家族はその人を守ります。失敗を恐れない自信のある人にします。
しかし最も身近な存在ゆえに家庭には悪も潜んでいます。親子の確執、虐待、夫婦の不仲、離婚…そして霊的に言えば、愛の神を知らないままの不信仰もあります。
だから私たちはこの世の家族関係に埋没したままではなく、そこから抜け出て「良い意味で対立する」必要があります。別次元に立つ必要、垂直に神と繋がる必要があります。この世の家族である以前に、まず主イエスさまの「苦しみの洗礼」という十字架の愛を信じ、共に死に、神の国という真の平和に基づいて新たに生まれる必要です。そこに神の家族が誕生します。
そうしてまず神の家族となることで、逆に私たちはこの世の家族への「祝福の基」(創世記12:2)となります。良い意味での対立が祝福の源、神の民を作るのです。
そのために私たちはまず、祈りと礼拝で神の家族として生まれましょう。食卓で、病室で、スマホで、神の家族同士つながって祈りましょう。そしてこの世に遣わされて、この世の家族を愛しましょう。
今は私は、神を信じないこの世の家族のためにも祈ります。神の家族として、それは嬉しいことです。
「あなたを神の家族のうちに迎え、キリストにあって一体とされたことを感謝します。」(洗礼式、式文)
イエスさまが言ってくださいます。「お前と私は家族だ。同じ家族になれて嬉しい。一緒にこの世の家族を愛していこう。」