自分に忠実

2023/11/16

タラントン 恵み

 「忠実な良い僕だ」マタイ福音書25章21節

2023年11月19日 聖霊降臨後第25主日(特定28) 


 タラントンの譬えでは、自分に託されたお金を用いて儲けた召使いは「忠実だ」と褒められます。しかしお金を隠してそのまま返した召使いは不忠実な「怠け者め」と排斥されます。 
 この譬えでイエスさまは当時の指導者を批判しました。「あなたたちは神から託された恵みに忠実ではない。与えられた律法と神殿の目的は神の愛を伝えること。だのにお前たちはその目的に不忠実で、恵みを利用するだけ利用して隠している。そんなあなたがたは破滅する」と。実際に神殿は破壊されます。
 神の恵みの目的は、愛です。与えられた恵みを精一杯用いて愛して欲しいのです。
 病気をしてからの私は日々嫉妬との戦いです。「あんなに元気で器の大きい人間だったら、もっと良い働きが出たのに。もっと愛せたのに。」なのに神が私に与えたものは、この弱い体と小さい器しかない・・・。
 しかし私は完全に無力だと嘆くのは嘘です。神さまは弱くとも小さくともこの自分という器をお与えになったのです。そしてこの自分に忠実でいることはできるのです。
 タラントンは才能ではありません。神の恵みによってのみ成り立っている、心の奥の本当の自分です。自分の器です。そしてこの自分に忠実でいることを、神は求めておられます。
 世界で最も自分に忠実な存在、それが神です。神は愛です。神はご自分の愛に忠実です。その無限の愛の杯を私たちに注がれました。自ら人間となってこの世に来て、私たちの罪と死をその身に受けて苦しみ、十字架で死んで復活することで、自らの命を与えられました。私たちを死に至るまで愛されました。
 また、最も自分に忠実な人間、それもイエスさまです。イエスさまは真のイスラエル、真の人間として、恵みによってのみ成り立つご自分の器に忠実に生きられました。自分の愛の器で精一杯愛し抜かれました。人類の罪を担って死に、復活させられました。そうして最も自分に忠実な生き方、最も人間らしい生き方の道を開かれたのです。
 イエスさまの器。それはご自分の赦しの杯でした。イエスさまはその杯に最後まで忠実であられ、命がけで神の赦しを私たちに注いでくださったのです。
 「小さい器でいい。自分に忠実に生きなさい。あなたに与えられた杯で精一杯注ぎなさい。わたしの愛と赦しを。」



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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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