曖昧なまま 「麦まで一緒に抜くかもしれない」マタイ13.29 (A年特定11)

2017/07/23


 ある教会にゲストが来ました。その方は礼拝では涙を流し、急速に信徒と親しくなりました。するとその方の前の牧師から電話があり「実は信徒から金を借りては踏み倒し、違う教会に転籍し続けている」と言います。私は焦りました。「大変! 優しい高齢の信徒が金を取られて傷つく前に毒麦を抜かないと。」その方に事実を確認しました。すると教会に来なくなりました。予想外だったのは親しくなった信徒さんが不信感を抱かれたことです。「牧師が新来者を追い出した」と。説明しましたがあとの祭りでした。  
 だから私は「抜きましょう」と言う弟子の気持ちも、良い麦まで一緒に抜いて傷つける失敗もよく分かります。自分の価値判断だけで人を審くと、周りの人まで傷つけかねないのです。  
 イエスさまは教えられます。「麦まで一緒に抜かないように、審きは神に委ねて、人間の曖昧な現実に留まりなさい。人を傷つけないために謙虚でありなさい。わたしがそうだから」と。  
 曖昧なままでいるのは苦しいことです。白黒つけられたらどれだけ楽か。でもイエスさまは勝利か敗北か、善か悪か、曖昧まま十字架で死にました。人間の曖昧さを受け止められました。だからこそ、この方の審きは私たちの救いです。

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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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